遠くで雷が音も無く轟いている…窓から見えたのでベランダからシャッターを切るが、私が撮影ボタンを押すと雷光は止み、撮影後コンマ一秒くらいの間にパッと光り輝いている。雷神は姿を映されるのを厭うらしい。意図したかのようにタイミングが合わず、これが一番よく撮れている雷の光。
雷の光が空全体を満たすとき、数十キロから場合によると100キロ範囲で空が点灯したような状態になっているのだろう…音の無いメッセージに夜空が満たされているみたいだ。
街の明かりもそうだけれど、離れて観ると何もかもが美しい、雷も然り。だから今こうして過ごしている毎日に、死後、と呼ばれる状態…あるいは夢見の状態で舞い降りたなら、何気なく自分が毎日やっている動作の中に神秘を見るのかもしれない。
下らない過ごし方の中にさえ、こんなにも光が溢れていたのだと気付くのかもしれない。

妙に静かな夏の終わりの夜。