川と土手についての考察

まず、↑この写真を見て欲しい。それから以下の写真を見て欲しい。

川の岸辺(土手)が削られているのがわかるだろうか?

いったんここまで削られてしまうと草が根を張れずにどんどん小規模的に土が落盤してゆき、川幅だけが広がり、その結果川の流れるスピードが遅くなり、水温が上昇するため、上流から流れてきたゴミや単にそこに住まう生物の死骸が留まりやすくなり、川の水質が腐敗しやすくなる。

川にはある程度のスピードが必要で、そのためにも川幅はあまり広すぎてはいけない。

…と私は思って居る。そして一番駄目なのが人工的に直線状の土留めをしてしまう事。何でかと言うと川の流れは蛇行するところに意義がある。蛇行すると渦を巻きやすくなり、そこに魚が溜まったりして、鳥などがそれを捕食したりして生態系を保ちやすいし、繰り返しになるが上昇した水温を分散させるためにも要所要所で蛇行し、渦を巻き、水温が【一定にならないように】したほうがいいのだ。

直線状のアスファルトの土留めをした場合、川の上部と底との二層に水温が別れ、尚且つそれが延々と続くと結果的に下流になればなるほど水温が上がり、渦巻き状の分散区域が無いため上流からのゴミや腐敗物(生物の死骸)が蓄積しやすく衛生的にも良くない状態になる。

じゃあ落盤している川の土手部分をどうやって補強すべきか?

答えは土である。土と植物である。

↑このように根を張りやすい蔦植物なんかを植林(?)してある土を、削られた土部分に造設すればいいのではないか…?

ちなみにこの川は今年特に雨量が少なく、従って水量も減っている。水量が減った途端に植物の根の張り具合が弱まり、土手ごと削られている。この変化は微細なのでなかなか知れ渡らないが…

雨量が減る時ほど、土手は削られ、結果的に川は暴れるのだ。

雨量がある程度保たれていれば植物が土を補強してくれているので土手が持ってゆかれることは比率として少なくなる。水害というものは実は土地が渇いてくる時に起こる…これは自然の中で体感として感じられる知識であり、目の当たりにしたことのない人にはなかなかわからないかもしれない。

↑すべて水没したとき、冠水間近の川。しかし植物たちが根を張っていればどうという事はない。

巨匠ミレーの描いたハムレットの登場人物、水の中の『オフィーリア』を連想させる水草たち。こういった植物たちが、複雑怪奇な生態系を維持し、無論人間の免疫やら心にすら影響を与えている。土のもたらすミネラル分が川に溶け込むと考えると多少は、川というモノが姿を変えるのも自然な事であり、従って土手を抉られるのも致し方の無い事なのかもしれないが…人類には、それを漫然と傍観していられる時間は、あまり無いような気がしている。