詩【救い難い我らは 天国の一歩手前で足踏みをしている】

はじめに、口を布で覆った慎み深い厳格派
次に超人思想を目指して人体改良を率先する優生学派
…とは言えこの人たちはその実ラビの言葉を妄信する旧約派だったが…
そして最後に野蛮派と呼ばれる、呼吸器官を丸出しにし人体改良を拒む人々

…その実彼等こそ最も、人類最古の教えを尊ぶ保守派であったが、その教えは常に自らの内側からやってくるものであり、彼らにラビは居なかった、まさにこの点に於いて彼らは異端者とされた…

そんな多種多様な彼らが皆、結局のところ地球という小さな泥だらけの庭園で手を繋いで踊る

踊る 踊る 踊る

いつでも世界はそうなのだ

耕しては殺し

殺しては耕し

感謝をささげながら愚痴をこぼし

葬列と出生を同時に賛美し、仲間割れしたかと思いきや、手を繋いで踊る

いつでも世界はそうなのだ

目で見ず 耳で聞かず いくら助言しても首を振り そのくせ誰も自分では考え(られ)ない

いつでも我々はそうなのだ

神よ 愚鈍な我らを許し給え

厳格派 優生学派 野蛮派 我々は一瞬で入れ替わり また仲直りして手を繋いで踊る

世々限りなく我らは踊る 我らは踊る 我らは踊る

いつまでも我々はこうなのだ

救い難い我らは 二千年以上前から 手を繋いだり離したりして踊り続けている 

救い難い我らは 天国の一歩手前で足踏みをしている