詩【死ぬ寸前に私は日の丸を理解した】

死ぬ寸前に
私は日の丸を理解した

日の丸の旗が街々を埋め尽くしたころ
私は
日の丸の赤を疑問視していたが
死ぬ寸前の朝
それは冬の太陽光線である事を悟った
日の丸国は
冬の王国であったのだ
亜熱帯の冬の太陽光線に限って
暁光は赤色を示す

もっと正確に言えば
秋分を超えたあたりから
暁光が赤みを帯びる

爆弾工場の朝は早い
肌寒くなってきてから
ああ、日の丸の赤だと私は心に呟いた
この赤の為に私は命を注ぐのだろうかと呟いた
特に陰になっている暗がりに視線を置いていると
その上に
赤い絵の具がそのまま重なるように
冬の太陽光線が降り注ぐ
赤いのだ
赤いのだ
悲しみの上に降り注ぐ太陽光線は赤いのだ
影の上に降り注ぐ太陽光線は
血の色をしている
日の丸の赤を疑問視していたが
確かに太陽光線は赤いのだと

死ぬ寸前の日々に私は日の丸を理解した