丸くなりはじめの十日の月よ
田の神を
山まで見送り給え
田の神を
山まで見送り給え
空になった田を守るのは
聖なる子供たち
とおかんや
とおかんや
丸くなりはじめの十日の月よ
藁で束ねた刀では
地面を突き刺すことさえ出来ぬ
そうなのだこれは
野鼠を散らすだけ
全てを追い払う事は出来ぬのだ
悪霊の全てを追い払う事は
我ら人間には出来ぬのだ
案山子様案山子様
田の神が降りてきた時にはまだ役立たずのぼろ人形を
とおかんやとおかんやと囃し立てるその時
我らは小さな神を
その中に見る
かくして来訪神は去りゆき
田は雪の中に埋もれ
神の宿る山は冬の間神秘となる
丸くなりはじめの十日の月よ
霜月の里を
どうか守り給え
詩【十日夜(とおかんや)】
