
まるで墓掘りのようにただひたすら掘り返す、天地返しという作業。もう天地返し作業をし過ぎて、自分の職業が内職工ではなく土葬業者か何かのような錯覚を覚える。こうして土に酸素を送り込むと何故か土にミラクルが起こってふかふかの土になる…!!のだ、事実虫は減るし、土が粘土っぽくなることも防げる。
ここに腐葉土、灰、牡蠣殻石灰、腐植酸、を足してさらに混ぜる。
そして植物を再配置し、要らないものは捨ててしまう。植物も放っておくとどんどん子が出来て増えすぎる。そして増えすぎた中には必ず奇形が生じる、何故?何故世界は完全さを好まないのだろうか?と、弱奇形の我が身を棚に上げて不思議に思う。

毎年何処に何の球根を植えたのか忘れるのでこうして写真に収めておこうか。しかしもう既にこれらの球根が何だったのか…数年前に買ってきた球根が毎年花を咲かせ、そしてそれを毎年このように掘り上げているうちに名称を忘れてしまった。自分の記憶力の悪さに慄きつつ、せめて覚えているものは記しておこうか。中央がボレロという白薔薇。左上がシロタエギク…これも大きくなりすぎ、しかもいつのまにか株がいくつも出来ていたので間引きもした。生き物と接すると必ず間引き作業と対面することになるのだ。初めのうちは慣れなかったがだんだんどうでもよくなるもので、今ではすっかり訳知り顔の産婆という役柄が板についてしまった。

…土もレンガ部分にはみ出て随分雑然としているし、むしろ荒らしたようにすら見えるが…一応これでひと段落だ。奥に在るのは一株だったのが三株に増えて巨大化しているアイリスと、その手前に広がる空間はユリの球根を植えるためのスペース。夏に咲く花を実験的にこのスペースで育てる予定だ。庭は実験室なのである。
さて、完成図がこんな殺風景だと、はたから見ている方にとってはさぞかし意味不明だろう。一体何の目的で私があくせくと庭を耕しているのか心底謎だろう。意図がまるで汲めないと思うので一応、今年の春の写真を載せておこう…↓

こんな風になるのだ。アイリス、薔薇、球根類、そして表面に(雑草予防のため)クローバーの種を撒いておくとあら不思議、こんな風に華々しくなるのです。我ながら不思議だなあ。綺麗というよりかはよく言えばイングリッシュガーデン風、悪く言えば野放図なのだが。
ただ…植えっぱなしにしておくとクローバーもこうは茂ってくれないし、植物たちのブワッと膨らむ感じは土の経年劣化でどんどん減ってゆき、全体的に元気がなくなるのだ。そこで毎年こうして冬場に土を耕して、腐葉土や腐植酸などで土中菌類を活性化させ、さらに牡蠣殻や灰などで酸化(劣化)した土をアルカリ化させることで庭土自体を若々しくしている…という理屈でやっているが、本当の事を言うと詳しい事はよくわからない。
現実的に、手をかけると何故か植物が元気になる法則が在り、それに則っている、それだけなのである。
ちなみにあと2か所耕し、庭を覆うように生えている庭木たちの根本も多少アルカリ化させ、肥料を与える工程が残っている。あとひと月ほどは庭作業に労力を注ぐ予定である。これが終わると本当の意味でひと段落着く。冬が来る。