詩【我らすべての母(アニマ)】

暗い穴の奥底で微笑む者こそ
我らすべての母である

誰かが暗がりに向かって精一杯声を絞る
…あなたは私の父である…
我らが誰一人逃れる事の出来ない
凝縮された血脈の呪いに向かって我らは礼拝し
また
蛆虫やら、触れる事すらおぞましい穢れに向かって
…あなたは私の母、私の姉妹である…
と囁くように言う

しかしながら誰もが
苦しみの果て、呪縛の奥底に在る聖なる存在を知っている
どうしようもない穢れと
生命全ての
やりきれないほどの愚鈍さ全てを受け入れている大いなる存在…我らすべての母に
既に気が付いている

誰かが言う
暗闇に手を伸ばしてみよ
先祖の呪いに語りかけてみよ
我らが誰一人逃れる事の出来ない滑稽さに
声を振り絞って語りかけてみよ
すべての母は答えて下さる

誰もが言う
人類という深い穴の奥底から
手を伸ばして全てを包み込み
微笑んでいるすべての母に、自分という小さな個人が触れた瞬間

正真正銘

この矮小な自分とて、すべての呪いを
歓びを以て担っている事に気が付くだろう
我らは一人の例外なく
贖罪を
微笑んで受け入れている…これが生命の本質であり
その呪われた暗い穴の奥底で微笑む者

これこそ我らすべての母なのである

これこそ我らすべての正体なのである