詩【どうかバラムの迷いから我らを救い給え】

旧約時代の預言者たちは予言の代償が身に降りかからないように
神から知らされていた事は全て
先んじて予言しておいた
これは大きなカルマを預言者個々人が回避するための術で
つまり先見の明のある人や
野生の勘やら直感やら神からの御神託で
知ってしまった人なんかは
カルマを回避するためにも預言せざるを得なかった

とは言え彼らの心は神に向いていた

しかし偽預言者となってしまった者もある…その名は預言者バラムだ

民数記に記される彼の預言は一見、神からのものをそのまま伝えているように思える
しかしバラムの心はモアブの王の前に挫け
沢山の贈り物や権威に目がくらんでいたために
選ばれし都を口では祝福しながらも…同時に、裏では人々を操っていた
バラムはその瞬間
預言者から偽預言者へ
偽預言者から
忌々しい呪術師へと変わってしまったのだ

それからというもの世は無意味な預言で埋もれてしまった
誰が預言者か
誰が偽預言者かわからないようにと
現代のモアブ王は知恵を使うようになったのだ

しかしながら、モアブ王に背けるものは居るか?
モアブ王の褒美に目を背けられるものが、果たしてこの地球上に何人いるだろうか?

ああ沢山の偽預言者バラムたち…道を躓いた偽預言者のバラムたちよ
口にする言葉の中に
少しの真実と
大きな嘘がある
多くの人を神に背かせるよう唆し
偶像に金銀、または血の供物を具えさせるバラムよ
しかしバラム自身はこう言うだろう

『私とてモアブ王に騙されていたのだ』

神からの度々なる警告を無視し
真実に色を混ぜて語ったそのカルマを彼は引き受けた

そこで今に至るまでの聖書の時代から連綿と、一つの検証がなされた

『果たしてモアブ王の想いを初めから正直に選ばれし民に語っていれば、それそのものについて、バラムは罪を引き受けずに済んだのではないだろうか?』

ある意味では真実率直な計画を
そのまま呈示して
民自身に選ばせる方法を取れば
それこそが
民自らが選んだカルマとなり
計画者はカルマを引き受けずに済むのではないか?

最早神は居ないのだ…心に神が居ないのだ

昨今の、保身に次ぐ保身思想の数多の偽預言者バラムたちも、こう思ったらしい
それを神の言葉とは言わずに
ただただ
モアブ王の有難い御言葉として
絶え間なく
情報として、民草に提示し続けている

カルマから逃れる事だけを目的に、民草を陥れようとしている

さて、はじめに立ち返ろう
預言者の資質というものは
まず第一に神に心が向いている事
これ無くして誰も預言者と名乗る資格は無いのだ

私に言えるのはこれだけだ…数少ない真実な預言者たちよ
どうか
バラムの迷いからこの星の民を解き放ってくれ
そうすれば
我らは数多の偽預言者バラムを真実の剣で討ち果たし
モアブ王の罠からも
逃れることが出来よう…救われることも出来よう

どうかバラムの迷いから我らを救い給え

…ただ神に於いての真実だけを、我らに伝え給え…