雨、風、岩、荒れ、地震…これらの巻は、幾度か本書にて言及されている『生神(いきがみ)』と同様にも感じられるが、意外なことに、雨そのものや、風の吹きすさぶ様や、岩について、荒れ狂う状態、そして地震について等は、本巻を含めほとんど触れられていない。
ただ、この生き神を模した巻(13~17巻)には、浄化を示しているように感じられる。
岩はその浄化の只中に在って不動の力を発している。
さて、この岩の巻にて、何故か最後に地震の巻について述べられている。
これについては、先ず地震の巻が、全巻の中でもちょっと異質だということ…だから早めに地震の巻について知らせておきたい気持ちがひつくの神にはあったのではないかと思われる。
なんでかというと、岩の巻の次巻、荒れの巻はあまりにも詩歌に寄り過ぎていて抽象的で、予告などはできない雰囲気なのだ。
こういう推察をすると、ひつくの神という存在が妙に人間に近しいように思えて、面白くもある。