【朗読】山の人生『八 行方不明と神隠し』柳田國男

沖縄のモノ迷いの話で思い出したのが、修学旅行中に行った洞窟の事だ。

何かの拍子に足が滑って、私は洞窟の奥に落ちそうになったのだ。

勿論落ちなかった、その場限りの出来事であるし、特にどうというわけでもないのだが…その他の雑事は忘れたのに、あの一瞬の奇妙な感じを今でも覚えている。

また藤良と狐の女房にあるように、杖をついた人物というのは妙な雰囲気を放つものらしい。

私も骨の具合で杖をついているので、他人に与える変な影響というものを感じることがある…かといってどうしようもないし、杖をつくと痛みが解消し、かえって調子がいいので…輪をかけて奇妙かもしれない。