
35度の炎天下、謎の閃きに駆られてやってきた東京湾。
さて東京湾…と聞くとなんだかキラキラしているイメージだが、塩水に触れるくらいリアルな東京湾風景は実に閑散としていた。
ちなみに、この橋の近くには巨大な風力発電機が、どこか呪術的なオーラを発しながらそびえ立っている。

また、この海原の反対側には、おそらく豊洲近辺の、蜃気楼のようなビル群が音もなく林立している。
要するに東京湾には、巨大な人工物が多い…しかし相反するように人間そのものの姿は見当たらないので、漠然と、『人間が消滅した後の世界』みたいな感じがして、少し神妙な気持ちにすらなる。
巡り巡って巨大古墳でも見ているような気持ちになってくる。
この岩場も、海水まであと数メートルの距離だが、防波堤らしいものは敷き詰められた巨岩だけであり、暴風雨の日などはあっけなく海に飲み込まれそうだ。

地図でいうと若洲、駅名で言えば新木場近辺である。
長年謎だったのですよ、いざ新木場駅で降りてもそこから先は車でないと行けない道のりである…そして実際ここを走っている車というのもほとんどが大型トラックで、風景といっても武骨なコンテナだとか一般人立ち入り禁止の湾岸大型船関連の工業地帯なのである。
人が住んではいけない場所…とまではいかないが、夢の島公園も含めて、かなり異質な人工物&巨大建造物&海であるので、どこか圧倒的な虚無感を抱かせる風景が広がっている。

しかしながらこの虚無感の中に、ほんのひとかけら、神秘が入り混じっているように思います。
この神秘に触れたくて、今回のような奇妙な場所に引き寄せられるわけです。
ちなみに(冒頭の写真)東京ゲートブリッジを渡った時…海面までおそらく数十メートルもあるはずなのだが…ほんの申し訳程度のガードレールしかついておらず、周りは殺気立った業務用大型トラックの群れだらけで、これが強風の日だったらと思うと…!!!と、まあ、暑さも吹っ飛ぶような爽快恐怖感を味わわせていただきました。
この巨大建造物たちが本物の古墳、古跡になる頃に、果たして人間は存在しているのでしょうかね…。