アイボリーのルームドレスと時間の旅(洋裁)

ルームドレス!これも例の安い布で作ったのだが、やはり型紙はだいぶ変形させてある。

ヨークの部分(真ん中の部位)は本来もっと短い(胸のすぐ下くらい)のだが…そこで切り替えしとなると、私みたいな身長低めの(中年)女が着用した場合…少女のつもりなのか?あるいは妊婦なのか?はたまた老婆の寝巻なのか?全く謎になってしまうのですよ。

ということで今回はヨーク部分を、元の型紙から長く変形させ、襟ぐりも深くして作った。

後ろ側のヨークも同じように引き延ばしたら、案外ウエストがくびれているように見えていい感じ。

着用してみて初めてこのデザインの意味が理解できた。(まあ、元の型紙では理解には至らなかったのだが…)

洋裁でいちばん楽しいのはステッチを縫うとき、つまり仕上げのミシンがけ。

話は逸れるが、洋裁も朗読も植物の世話も、これっていわゆる(敬称としての)主婦の生業だよなあと感じる。

主婦といっても明白にそれが女のものとして社会的に役割分担されていた時代よりももう少し以前、なんとなく…縄文時代とかの、狩り(釣り、漁業など)に行く家族を待っている人間のやること、のような気がする。

服も、大昔(太古)は基本的には自分等で作るしかなく、穀物や果物も(漠然と)管理をしなければならない、そして一族なり集団なりで受け継いでいる神話を詠唱したり歌ったり…祈ったりしながら、ひとりの人間が、文化を保持する鎖の一つとなる。

針を手に持つと不思議とそんな気持ちになる。

そしてその時に、時間というものは直線的ではなく、幾筋もの抜け道があるようにも感じられる。

今、直線的な意味でのこの時代に、いちいち手作業でモノをこしらえることにはほとんど意味が無いように感じられるが…ひょっとすると裁縫の時間、何てことない夏の午後…自分は膨大な時間の旅に出ているのかもしれない…そう思うと密かに嬉しい。

次の一着は、私を何処へ連れて行ってくれるのだろうか…。

(参考図書→think patternのソーイングBOOK (Heart Warming Life Series) )