旧約聖書朗読【意訳・エゼキエル書/後編】

聖書の、いまいち万人受けしないところはユダヤの伝統を重んじ過ぎているために、読んでいて『疎外感』を受けるところだ。まあそりゃ、このユダヤ民族の方々が世界でいち早く法律というものを書面で制定し、法治国家というものを造り、唯一のところから宇宙は始まったという思想を掲げたのだから仕方ないと言えばそれまでなのだが。

せめて何かもうちょい取っ掛かりが欲しいなあ…そんな気持ちがあって、ついにイスラエル12氏族を和訳というか邦語訳した。

そうしたら不思議と共感できた。それぞれに役割があって、それぞれに子孫を増やして…それって別にどこの民族でも同じだよなあと理解した。『特別な血統』である祭司などの存在も。

カタカナ語だと一度脳みそが一時停止するが、邦語訳するとすんなり意味が入ってくる…と私には感じられる。

20章  神の王国への託宣          
21章  磨いた剣(つるぎ)の喩え  
22章  流血の街
23章  ※本来はみだらな女の喩え→暴君の喩えに改編しました
24章  鍋で煮られる肉
25章  アンモンの人々への託宣→敵への託宣
26章  ツロの地への託宣→海の商人への託宣
27章  ツロの地および湾岸地域への託宣→海辺の強欲な商人への託宣
28章  ツロの驕りの詩→海の商人への詩
29章  エジプトへの託宣→(かつて捕囚の地)悪しき大国への託宣
30章  エジプトの滅び→大国の滅び
31章  エジプトを木に喩える→大国を木に喩える
32章  エジプトの滅びの詩→大国の滅びの詩
33章  見守る者と、個人のカルマ
34章  牧者
35章  セイル山への託宣→赤き山への託宣
36章  神の王国の復活
37章  谷に満ちる骨が蘇る
38章  マゴグの地のゴグ(滅びの託宣)→呪われた王
39章  反逆者と神の王国の民
40章  幻で見た建物の寸法、キュビト→腕〇本
41章  幻での神殿の寸法→腕
42章  幻、聖と俗の境目
43章  生贄
44章  祭司の規定
45章  ※数量単位の規定エパ、ホメル→かご、樽など
46章  礼拝の規定
47章  幻で水が増してゆく
48章  神の王国の氏族の土地分配規定

さて、訳の一覧を貼るが、一応この訳は私の著作とする。この数量表や個人名氏族名の邦語訳を、第三者が使用してから生じた責任は、当方は一切負わない。(伝統的な聖書解釈で見たらかなり誤りの多い層体表であると思うので、どんな小規模な集まりであれ、公の場では使用しないほうがよいと思われます…。)

【個人、氏族】

アブラハム→尊き父祖
(個人)ヤコブ→主のみ手を掴む者(氏族全体を指す場合は主のみ手を掴む家)
(以下氏族)
ベニヤミン→人々の右に座する者たち
※(個人)ヨセフ→喜びを増やす者たち
マナセ(ヨセフの家系)→苦しみを忘れさせる→人々を癒す者たち
エフライム(ヨセフの家系)→実り多き者たち
アセル→えり抜きの勇士たち
ガド→主に供物を捧げる者たち
ナフタリ→戦士たち
ダン→賢き者たち
ゼブルン→主を尊ぶ者たち
イッサカル→誉を与えられる者たち
ユダ→主を賛美する者たち
シメオン→主の声に耳を傾ける者たち
ルベン→真実を見つめる者たち
レビ→主に結ばれた祭司たち
※(個人)ザドク→基なる祭司
エラム→先祖を共にする者たち
ダビデ→美しき羊飼い

【数量】

ホメル→測り樽(これが基準となる※エゼキエル書)
エパ→測りかご
バテ→測り瓶(※液体)
1エパと1バテは同量
コル→測り壺(※液体)
ゲラ→一つまみ
シケル→大さじ1(の重さ)
ミナ→測り茶碗
※1ミナ=50シケル
ヒン→測り升
キュビト→肘から手先の長さ→わかりやすくするために腕一本分とした

キュビトは体感で言えば腕半本分なんだが、都合上腕一本分とした。

40章からはじまる謎の神殿寸法の記述は…正直全くどういう建物なのか見当もつかなかったが、不思議と白い光の、日差しの強いところにある石造りの建物で、かなり浮遊感を伴うのが面白い。それでネットで検索したところ、割と普通の神殿っぽい画像が見つかった。その画像を見るとやはり人類の共通無意識のなせる技か、私の夢想した雰囲気とよく似ていた。

ただ、全く話の腰を折るようだが…このエゼキエル幻の神殿、トイレはどこにあるのだろうか…?庭?でも庭も台所と繋がっていたような。昔の神殿にはお手洗いは無いのだろうか?でもお寺とかには厠があるわけだから、無いってのも不自然。聖書で唯一不自然なのは排泄に関する規定が無いところだ。その割に性的な規定はものすごくあるから、それだけが旧約で解せないところ。

それともこの幻の神殿にたどり着くころ(真の意味で建設されるころ)には人は全て霊魂になっているのだろうか?

エゼキエル書の魅力は、一見突拍子もないことを語っているようでいてその実、案外全人類に共通した感覚に訴えかけてくるところだろうか。

旧約特有の不思議な世界観が広まれば、私も嬉しい。