【自作短編小説】 短編【ほら吹きお銀】江戸時代イメージ小説 「あの人…ここから桃をとってきたのか…この桃はもともと、私たちの殺したものたちの血が入っていたのか…あの人もそうと知らずに私に渡し、私も、自分では食べもしないで売りさばいていたのか…でも、今はすっかり清らかになっていて本当に美味しそう」 2022.04.01 【自作短編小説】
【自作短編小説】 ショートショート【「預言者イザヤと同じほど賢いのだわ」】 青年は問いを振られたが答えなかった…答えられなかった。この堂々たる老婆に、まさか廊下で従弟たちと話したように、裸になって一晩外で過ごしたらどうか?等とは言えなかった。第一にこの老令嬢にはそれを受け止めるべき紳士のお相手も当然居ないのだ。さらに孤独になれとは到底言えなかった。 2021.10.19 【自作短編小説】
【自作短編小説】 ショートショート【オカルト話】 『君は我々の世界にイエスキリストが居なかったと思うか?それとも居たと思うか?あるいは…まだイエスキリストは生まれてさえ、存在さえしておらず、これから生まれてくると思うか?』 2021.10.17 【自作短編小説】
【自作短編小説】 ショートショート【『珈琲代にでもしてください!』】 社畜だろうが奴隷根性だろうが構わない。俺はそれでいいんだ、これでいいし、これが俺の生き方なんだ。これが俺なりに出来る世界の支え方なんだ。俺は胸に熱いものがこみ上げてくる中、地震でぶっ壊れたインフラ網の修繕係と成るべく、終電間近の電車に乗って湾岸部まで…嬉々として赴いたのだった。 2021.10.10 【自作短編小説】
【自作短編小説】 ショートショート【まじない師の恋】 ついに彼女は主観的時間の中へ消え失せたのだった…。老婆は瞬間的に孫を失い、村を守る役目が「ふたたび」自分に回ってきたことを本能的に訝しみつつも静かに呪術を行った。その日の晩、月の無い暗い夜に村はずれで一人の男が死んだ。老婆は内側の光の中で…究極の主観的時間の中で、何やらよく見知った女と、男とが仲睦まじく暮らしている光景を漫然と見つめていた。 2021.10.07 【自作短編小説】
【自作短編小説】 ショートショート【アマチュア】 その後何が起こったのかは誰にもわからない…ただ一つ言えるのは、男が、ついに絵筆を折ろうと決意したその日の朝、輝くような秋晴れの陽光を受けながら、全く唐突にアマチュア画家老人が住宅街とドブ川の暗渠の間の椅子から立ち上がり、男に微笑みかけ、完成した絵を見せたのだった。 2021.10.06 【自作短編小説】
【自作短編小説】 ショートショート【小さな虫の一生】 「どうか明日は、次の朝目覚める時、あるいは次の朝子孫が目覚める時には、約束の地にたどり着けますように」 およそ全ての生き物がこの、祈りとも願いともつかぬ欲求を抱いて一生を終えるのを、小さな虫である彼は無意識のうちに悟ったのだった。 2021.10.05 【自作短編小説】
【自作短編小説】 死亡予防ワクチン 無論、死亡予防ワクチンを打ったすべての人間が死亡し、その中の何割かは副反応による死を迎えていたのだが、死亡予防ワクチンを「勇気を出して打った」「死ぬ事による他者への迷惑を顧みて先んじて打った」素晴らしい人たちとして、副反応による死者は丁重に祀られ、奉られ、副反応予防ワクチンと共にワクチン接種死亡者は崇高な自己犠牲の手本として英霊と崇められた。 2021.08.12 【自作短編小説】