【自作短編小説】 短編【最後の、森の人】縄文時代イメージ小説 女は霊魂となって『今』でも森の中、様々の時間の一点に向かって語り掛けているのだ、よって森は今でも続いている、焚火は今も尚燃えている…森の人の時代は今でも続いている。 2021.06.22 【自作短編小説】
【自作短編小説】 短編【光る酒】江戸時代イメージ幻想小説 手荷物をひったくり、武者震いのようになっている手で風呂敷を解いて一口煽った。 …頭の奥深くに光る酒が染み込んでゆくのがわかる…! 斧が目の前に落ちてようやく自分が酔っ払っている事に気付くと彼は酒と斧とだけを持って小屋に引き返した。 2021.06.21 【自作短編小説】
【自作短編小説】 短編小説【悪人の花壇】 老婆は中年の孫を見て微笑んだ。男が黙っているのを見ると独り言のように呟いた『街の中心広場がごみ溜めじゃあこの街は遠からず終わる、今よりもっと腐敗するよ、勿体ないね、せっかく聖者様が信じる者たちを連れてきて住まわせたのがここの始まりなのに…本当は誰かが何とかしなくちゃいけない、でも見て見ぬふりさ、あたしだってそう』 南米イメージ小説。 2021.06.19 【自作短編小説】
【自作短編小説】 短編【浄瑠璃人形花鈴奇譚】江戸時代イメージ小説 一体の浄瑠璃人形に心を奪われた米屋の若旦那、冷ややかなその妻、人形と人間の織り成す江戸時代イメージ小説。 2021.06.17 【自作短編小説】
【自作短編小説】 短編【鬼子母神の涙】江戸時代イメージ小説 女罪人は一人せせら笑った。それがあまりにもあっけらかんとしていたので坊主は図星を突かれたにも関わらず怒りの感情が湧かずに岩や石ころだらけの足元を…多少曲がった脚をじっと見つめていた。子殺しの女罪人は続けた。「だから罪人の仕置きをやらされてるんだねえ」 2021.06.16 【自作短編小説】
【自作短編小説】 ショートショート【空から落ちてきた名前】 紺碧の空を行く旅人は大きな荷物を抱えていたが疲れのせいかその鞄の紐が緩んでいた。あっ…と思ったときにはこれから名付けるべき名前たちが小さな銀の鈴の音を立てながら雪のように鞄から舞い落ちてしまった。 2021.06.16 【自作短編小説】
【自作短編小説】 ショートショート【素裸の佯狂者(ようきょうしゃ)】 神の子が地上で磔刑に処されてから幾百年、牧草地を横切り、荒野を彷徨い歩きながら素裸の佯狂者の男は両手を世界へ向けて広げた。全ては神の恩寵に包まれていた。 2021.06.14 【自作短編小説】
【自作短編小説】 散文詩【因果律の都】 「世界を一度破滅させなきゃいけないんだ、わかるかい、これは聖戦、君ならわかるはずだ、今支配しているこの思想体系に於いて異端である君ならばわかるはずだ、魂に問いかけるまでもない、君は悩んでいる、しかしその悩みは辿っていくと社会に結びついていることを多くのものは認めようとすらしない。」 2021.06.13 【自作短編小説】
【自作短編小説】 ショートショート【死後空港】 女は意識が遠のいてからの日数を覚えておらず、気がついたらこの空港へ来ていた。 自分の肉体が、あの趣味の良い静かな家の中で腐敗し、破裂し、どこからともなく小さな虫たちが湧き出でて、彼等の新たな王国の苗床になっていることなど女にとってはもう些末な事柄だった。 2021.06.11 【自作短編小説】