聖ベロニカ現象

聖ベロニカ現象と個人的に名付けている謎摂理がある。こちらが沈んでいる時に何故か他人から励ましの言葉を多く貰うのだ。まるで十字架を背負ったキリストの汗を拭って励ますベロニカの如く、道行く人が妙に優しい事がある。

世の中はプラマイゼロだとか、帳尻が合うように出来ている等という因果律めいた話を私はあまり信じないが、この聖ベロニカ現象に関してだけは…こっちが沈みに沈んでいる時、それでもやらなきゃならないことをやっている時に限って、そのやっていることを促すような言葉かけをしてもらえる現象が起こるので、そのやっている事が宇宙的に(大規模という意味ではなく)必要なのだと私は悟る。プラマイゼロというかむしろプラスに転じるように、何かの摂理が働いているように感じるのだ。

はじめのうち、この聖ベロニカ現象はゴミ拾いでよく発生した。こっちが…テンガなどの最底辺エロゴミなどを拾ってうんざりし、それでも仕方なくゴミ拾いをして半ば腐っている心理状態の時に、ほとんど【必ず】と言っていいほど励まされるような調子であたたかい声をかけてもらえた。当時から、何故くじけそうになると励まされるのか不思議に思って居た。

今は花壇でそれが起こっている。

うんまあ、冷静に考えると私という人間が単に、考えていることが顔や雰囲気に出やすいので、あまりにしょげているので挨拶がてら励ましてくれているだけかもしれない…そう思うと恥ずかしい気もする。

とは言え…仮にそうであっても、聖女ベロニカは沢山いるのだ、皆気付かずに聖なる行いをしているのだ。人間は弱いので、善行は隠せと教えられてもやはり孤独感に打ちひしがれてしまう。肯定的な言葉を(赤の)他人にかけてやれる人が実は一番凄いと前々から思って居る…そしてひょっとすると誰しも、無自覚のうちに、聖ベロニカになっているのかもしれない。全く気付かぬうちに世の中を美しくしているのかもしれない。私も誰かのベロニカに一瞬、なっていたらいいなあ。