【朗読】山の人生『二四 山男を雇う』柳田國男

山男は酒を好むらしい、それに直接関連する話ではないが…何故か私は酒好きと勘違いされることが多々ある。(実際には下戸というか飲めない)

これで酒が飲めたら、多分本当に山奥に引っ込んで酒ばかり飲んで過ごしていそうな気がする。

さて…ある時、気味の悪い夢を見た。

ほんのこないだの事だ。

街中で男と知り合って何故か彼が私の自宅までついてきてしまう、という夢だ。

私は夢の中で『酒は無いから!!』と言ってドアを閉めるのだが、相手の男はドアをバンバン叩きながら何かを求めるように叫んでいる…という悪夢である。

この夢の何がぞっとしたのかというと、『相手がおそらくは実在する人間で、何かテレパシー的な仕組みによって繋がってしまった』感じがしたからだ。

で、目覚めてから支度をしていつもの早朝ゴミ拾いに行ったら…

現実、実際に、公園のそばに酒や弁当が大いに散乱していた。

そのゴミに触れた瞬間に『あ!夢の中の奴だ!』とわかった…ような感覚に陥った。

別にゴミ拾いに限らず、人はテレパシーの海の中で生命活動をしている故に、おそらくは…もし私自身が仮に酒飲みであって、制限の出来ない性分で、山奥で喚き散らしていたとしても…きっと誰かがそれを悟ってしまうのだろう。

そして、山男だとか、山女という風説となって、どんなに世の中から逃げ込んでも、やっぱり誰かに存在を認識されてしまう…そんな事がふと頭をよぎった。