【朗読】山の人生『二三 山男』柳田國男

山男に関して語られるのは、とにかく無口であるということだ…これに関して自分はとても親近感を覚える。

口下手だとうまく生きにくいので山に隠れているのではないか?…とも思うが、彼ら山男の体格が非常に良いので、何かもっと不可思議な存在なのだろう。

ちょっと話が逸れるが、この前、山(の入り口のあたり)に行った時に…自然の環境に圧倒された、と同時に、山に於いては自分とは関係のない人たちがやって来た時に、妙にその声や存在が大きく感じられた。

人間は、大自然の只中に置かれると、自分自身を小さく感じ、必要以上に自分以外(あるいは自分の集団以外)の他者を大きく感じる性質があるように思える。

それが脅威という感覚になる場合もあるし、相手を大きく感じたまま(つまりは脳がやや誤作動したまま)、その相手と向き合ったりするうちに…それが無口であったりすると尚、言葉が通じない大きな相手に見え、山男という存在を勝手に生み出してしまうのかもしれない。

山に居たら、(実際には小柄な)私も、誰かにとっては、謎の大きな山女になるのかもしれない。