昨年八月に我が家にやってきた黒い瞳のビスクドール、名前は『マリア』と彼女が名乗りました。
その『マリア』にせがまれて、『薔薇と同じ色のドレスがほしい』という要望通りにドレス作りに挑戦いたしました。
実はまともに洋裁にチャレンジしたのもマリアがやってきてからの事…まだ半年も経ちません。
人から教わるのが苦手な私は、マリアにその都度聞きました『どういうドレスがほしいの?』と…。
すると不思議なことに、思い描いた形状がどんどん形になっていったのです。
私自身の手は、針やハサミや寸法も何も知りません。
しかし何かに導かれるように、手が勝手に動いてゆくようになりました。
そしてある日…
そこには『薔薇色のドレス』を身に纏ったマリアが居たのです。
思い描いた事が全部出来たとは、到底言えませんけれども。
案外うれし気な表情に見えるのは…気のせいでしょうか?
後姿は…もうちょっと工夫が必要ですね。
何はともあれ、出来上がってほっとしているのは私ばかりではないはず。
不思議なもので、これが私の作った最初のドレスなのですが…終わってみると寂しいような、早く次のドレスを作りたい衝動に駆られています。
そしてこのドレスによって、人形であるマリアとの絆が深まったようにも思えるのです。
人と人形との絆?と思われるかもしれませんが…人形が好きな方にはわかるはず…。
それは人と機械との絆、人と道具との絆、人と家との絆…もっと言えば、個人と世界との絆と言っても過言ではないのです。
そうした深い糸のようなもので、自分が人形や裁縫の世界と結ばれ、そこにある感動や知識を垣間見たとも思えるのです。
この人形を作ってくださったベベタビト様には、本当に感謝しています。