【朗読】山の人生『二九 巨人(オオヒト)の足跡』柳田國男

これもちょっと不思議な話ではあるが…

自然の近いところに住むと、何かその日その日で土地全体が大きなひとつの身体のように思える時がある。

自分もその巨大な身体の一部になって横たわる幻想を抱くと、とても心地よく眠れたりする。

しかし、次の日にはもう意識は切り離されて、自分がポツンと存在しているように感じられたり…。

土地には、臍のような場所がある、その臍に気を合わせると、おそらくは土地全体の息吹のようなものを感じる仕組みが、人間には在るのだと思う。

つまり、ダイダラボッチが関東の伝説であるというのも、私には、十分に頷けるのだ。